「いい本」はどこが、何が違うのか。
心地よく読み進められる本造りを学ぶ講座です。
今期からはじまる新テーマは、平面的な「版面(はんづら)」から、さらに立体的なモノとしての「本造り」までとし、編集の領域まで広げてお話しします。本講座では、著者とのやりとりや原稿の練り上げ方などについてはひとまず措き、三次元の「モノ」としての書籍造りの流れを、社内で編集者、校閲者、製作部スタッフが基礎知識を共有する実践的資料『本造事始』をベースに金川講師がわかりやすく説明します。書籍の造り方は各社各編集者さまざま、正解はひとつではありません。しかし、活版時代から120年以上脈々と受け継がれている「心地よく読み進められる」新潮社の本には、数々の知識と経験、職人技が宿っています。
【日時】
2021年 前編10/21(木)、後編11/18(木)(全2回)
18:30〜20:00
【受講料】
6,600円※カラーの資料を配布します。
(税込 6,600円×2回分)
神楽坂ブック倶楽部(KBC)会員は受講料が5%割引になります。
会場:新潮講座神楽坂教室
【『本造事始』のこと】文:金川功
2000年代初頭、週刊誌、月刊誌の若手精鋭の編集者を招集し、ノンフィクション部門の新しい編集部が創設されました。その際、書籍編集の経験が浅い彼らのために、ベテラン編集者が講義した本づくりの基礎知識の内容をベースに、校閲部が新人教育に使っているマニュアルや、デジタル時代の新知識を加え、併せて編集した参考書が、この『本造事始』です。
【講座の内容(予定)】
●前編
・本作りの流れ
・造本はどう決める?
・本文紙について
・改めて版面のこと
●後編
・校閲の重要性
・入稿、校了
・装幀について
・webや電子書籍にも役立つ知識
講師:金川功(新潮社 デジタル編集支援室 室長)
1959年和歌山県生まれ。新潮社入社以来、「芸術新潮」「SINRA」≪とんぼの本≫など一貫してビジュアル関連の雑誌、書籍の編集に携わる。2019年まで同社企画編集部で、写真集や画集などビジュアル関連の書籍を中心に編集。2005年頃から現場にInDesignを導入し、編集者自身がDTPに携わるワークフローを構築。DTPによる書籍編集や組版について、社内外を問わず、伝統的な新潮社の組版についてのセミナーや執筆活動なども行っている。
金川講師が手がけた書籍:『伊勢神宮 神事編・遷宮編・解説編』『小澤征爾―Seiji OZAWA―』『君とまた、あの場所へ―シリア難民の明日―』(すべて新潮社刊)
くみ‐はん【組版】印刷工程の一つ。原稿指定・レイアウトに従って文字・図表・写真などを一ページごとに印刷する形にまとめること。元来活版印刷で使われた語。(『広辞苑 第七版』より)